空気が育てる野菜たち。アクアポニックス農園で挑んだ“気流制御”の共創実証

この記事では、循環型農業「アクアポニックス」の普及を担う先進企業「株式会社アクポニ」と当社FUJIOHにおける「気流制御」に関する課題への共創実証について紹介します。
※本文中では社名は敬称略で記載しています。

目次

エネルギーと収量のアンマッチ。室内農園が抱える見えない課題

閉鎖型施設で行う次世代農業「アクアポニックス」。水耕栽培と養殖を組み合わせたこの循環型農法に取り組むのが、株式会社アクポニです。環境負荷の少ない持続可能な農業として注目される一方で、アクポニはある課題に直面していました。
それは、空調エネルギーの使用量と野菜の収量が比例しないという“アンマッチ”。同じ施設内でもエリアによって育成状況にバラつきがあり、エネルギーをかけても期待通りの成果が得られないという現象が起きていたのです。

この課題は、FUJIOHとの共創の中で浮かび上がってきたものでした。
アクポニが抱いていた「空気環境が農業に影響を与えているのではないか」という仮説と、FUJIOHの「空気環境は農業分野でもマネタイズできる可能性がある」という視点が交差したことで、「温度環境のバラツキが収量に影響しているのでは?」という新たな仮説が生まれたのです。

さらに、この共創は神奈川県のオープンイノベーション活動の一環として始まりました。
中~大規模の企業側(今回のケースではFUJIOH)が提示した「我々はこういった技術を有している企業」という案内に対し、それらの技術支援を望むスタートアップ企業側が応募する形のオープンイノベーションです。

気流を制する者が、室内農園を制す

この仮説をもとに、FUJIOHが提案したのは「気流制御による室内温度の均一化」でした。
流体シミュレーションを活用して施設内の空気の流れを可視化し、エアコンと送風装置を最適に配置することで、温度ムラをなくすというアプローチです。
さらに、施設内の多点温度監視データをもとに、エアコンの運転をきめ細かく制御。これにより、冬場は設定温度を高めに、夏場は低めに調整することで、エネルギー効率の最適化も図れると考えました。

農業分野でこのような空気制御技術を導入している企業はまだ少なく、FUJIOHとアクポニはまさに“先行者”としてのポジションを築くことになります。

廃校を活用した実証フィールドで得た確かな成果

実証実験は、神奈川県内の廃校施設を活用して行われました。
施設には追加の断熱工事を施し、エアコンと送風装置を設置。さらに、FUJIOHが保有する流体シミュレーション技術や、業務用エアー搬送ファン、多点温度監視システム(株式会社マクニカ社協力)を駆使して、PoC(概念実証)を実施しました。

約5か月間にわたる取り組みの中で、リーフレタスを栽培しながら検証を行いました。想定していた結果を出せたことで、その後に品種を変更して現在も継続中です。
その結果、空調エネルギー削減。さらに、野菜の可食部重量アップという成果を達成しました。

空気の価値が、農業の未来を変える

この取り組みは、単なる技術実証にとどまりませんでした。神奈川県知事の定例記者発表で紹介されたほか、近畿地方の大規模施設農場からの問い合わせや、複数の自治体・企業からのセミナー登壇依頼が相次ぎました。
このような活動から得られている知見は、今後のスマートアグリ分野における重要な布石となることでしょう。

本取り組みの詳細をまとめたホワイトペーパーをダウンロードいただけます。
是非ご活用ください。

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