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飲食店の厨房工事は、ダクト・空調・水道・電気・ガスの各種工事に加え、内装や設備導入など多岐にわたります。それらの費用は規模や業態で変動するため、法令を遵守しながら綿密な計画を立てることが重要です。
飲食店に必要な厨房工事と費用相場

飲食店の厨房には、機器や設備の導入だけでなく、ダクト工事、配管工事、電気・ガス工事などの「接続工事」が 必要です。
導入する設備や給排気、給排水、使用する熱源等に合わせた各種工事が必要となるため、どのような厨房構成 にするかを事前に計画し、適した工事を行う必要があります。
主な工事内容は、以下のとおりです。
| 費用・工事の種類 | 内容 |
|---|---|
| 換気工事(ダクト工事) | 排煙設備、ダクト設置などに必要な工事 |
| 空調工事 | エアコンや換気扇などの空調設備の設置・メンテナンスに必要な工事 |
| 水道工事 | 水道管と厨房設備のシンクなどを配管でつなぐ工事 |
| 電気工事 | 照明設備の施工、コンセントやスイッチの設置など電気配線に関する工事 |
| ガス工事 | ガス管と厨房設備のコンロなどを配管でつなぐ工事 |
| 厨房設備費 | 調理機器、冷蔵庫、シンクなど、厨房に必要な設備の費用・設置費用 |
これらの工事費用は、厨房の広さや工事の規模、導入する設備の種類によって大きく変動します。
次の章では、それぞれの工事にかかる費用相場や注意点を詳しく解説していきます。
ダクト工事(換気工事)


ダクトとは、空調や排気、給気など空気循環のために使用する配管のことを呼び、工場や商業施設、オフィスビルなどさまざまな場所に設置され、飲食店にも必須の設備です。
ダクトの形状には、断面が四角型(主に長方形)の「角ダクト」タイプと、筒状の「スパイラルダクト」タイプがあり、接続する空調用送風機や換気扇の風量によって使用するダクトの形状・サイズが異なります。
ダクト工事は、厨房室内側の工事と屋外側の工事の2つの工程があり、屋内側では厨房レイアウトにあわせて配置した排気設備同士をダクトでつなぎます。そして屋外側では、室内からのダクトを屋外の排気ダクトや出口につなぐ工事や、周辺環境によってはにおいを近隣へ拡散しないために屋根上まで排気ダクトを引き上げる屋上排気工事を行うこともあります。また、排気だけでなく、屋外の空気を室内に取り込むための給気ダクトの工事も存在します。
飲食店のダクトには、「空調ダクト」「排煙ダクト」「排気ダクト」「給気ダクト」などの種類があり、その中でも、排気ダクトや換気ダクトは法律により設置が義務付けられています。
飲食店でダクト設置が必要な理由
環境を快適に保つダクトの主な役割は次の3つです。
| 空気を換気する | 厨房内の煙や油分を効率的に店外へ排出し、店内の空気を清潔に保つ |
| 熱を排出する | 適切な換気を行うことで、厨房や店内の温度上昇を防ぎ環境を改善する |
| 防火対策 | 油の粒子の蓄積を防ぐことで、火災リスクや汚れを軽減する |
換気の種類と特徴
飲食店の換気設備には、第1種換気または第3種換気が採用されることが多く、それぞれにメリット・デメリットがあります。
| 換気の種類 | 特徴 | 関連するダクト |
|---|---|---|
| 第1種換気 | 給気・排気どちらも機械で行うことで一定の換気量を維持できる換気方法。熱交換機能付きの場合は導入コストがかかるが、外気を室温に近づけて給気できる | ・排煙ダクト ・排気ダクト ・給気ダクト |
| 第2種換気 | 給気のみ機械で行い外部の新鮮な空気を取り入れ、排気は圧力差を利用して自然に行う換気方式。病院やクリーンルームなどに使用される | ・排煙ダクト ・排気ダクト ・給気ダクト |
| 第3種換気 | 排気を強制的に行い、油煙・臭いを効率的に排出し、給気は圧力差により自然に取り入れる換気方法。導入コストは比較的低いが、外気が空調されずに給気されるため、設置後の室温調整にコストがかかる | ・排気ダクト ・排煙ダクト |
適した換気設備を設置しなければ、煙や臭いが店内や周辺に充満し、店内の空気環境が悪化したり、近隣からの苦情などのトラブルを招いたりする恐れがあります。適切な換気システムを導入することで、快適で安全な店舗運営が可能になります。
第1種換気は、熱交換換気装置を使用することで、外気を温めたり冷やしたりする必要がなく、運用コストを抑えられるのが特徴です。
一方、第3種換気は、導入コストが比較的安価ですが、空調されていない外気が厨房内に直接取り込まれるので夏場や冬場の空調管理が必要となり、運用コストがかかる点に注意が必要です。
導入時のコストと運用コストを比較しながら、最適な換気方法を選びましょう。
ダクト工事の費用相場


飲食店の厨房に換気システムを設置する際、以下の点に注意が必要です。
ダクト工事の費用は、設置場所や工事規模によって大きく異なります。
| 工事内容 | 費用相場 |
|---|---|
| 基本的なダクト工事 | 3万円〜300万円 |
| 屋上排気工事 | 小規模の場合(20~30坪程度) 約100万円~300万円前後 中~大規模の場合 約300万円~500万円以上 |
特に、屋上排気工事は高額になりやすいため、導入を検討する際は複数の業者に見積もりを依頼し、コストを確認しましょう。
ダクトの排気口をどの高さに設置するかによって、工事費用は変動します。設置する階数が1階上がるごとに一般的に20万円程度の追加費用と言われています。
また、足場の設置が必要な場合や消臭装置や消音装置、熱交換装置などが付いた特殊な換気システムを導入する場合も、工事費用が高くなる可能性があります。予算計画を立てた上で、業者と相談しながら施工を進めることが大切です。
空調工事


飲食店の空調設備は、店内を快適な環境に整えるために欠かせない要素です。特に火を扱う厨房では、お客様の快適性を確保しつつ、高温環境によるスタッフの負担を軽減するために、十分な馬力のある設備を導入する必要があります。
飲食店でよく使用される空調設備として、業務用エアコンや厨房用エアコンがあります。厨房用エアコンは、水や油汚れに強い構造をしており、高温環境でも稼働できるように設計されています。耐水性や耐久性に優れ、メンテナンスがしやすい点も特徴です。
厨房用エアコンの主な種類
厨房用エアコンには、主に次の3種類があります。
| 特徴 | |
|---|---|
| 天吊形厨房用エアコン | 吸気口と吹出口が大きく、フィルター交換や掃除がしやすい。厨房用エアコンのなかでも人気のタイプ |
| スポットダクト機能付き 厨房用エアコン | 吹出口の位置や方向を自由に調整できる。火の周辺など、部分的に温度が高くなる場所の温度調整に便利 |
| 高温吸込み対応 天吊形厨房用エアコン | 高温を吸い込んで排気するタイプ。暑い夏でも快適に調理できる |
厨房用エアコンの費用相場
業務用エアコンや厨房用エアコンの本体価格は、30万〜60万円が一般的な相場です。ただし、大規模な厨房や特殊な設備を導入する場合は、100万円以上かかるケースもあります。
さらに、設置費用として10万〜20万円程度が別途必要になることが多く、一般家庭用のエアコンに比べると高額になりがちです。
店舗の広さや厨房のレイアウトによって、適切な空調設備の種類や台数は異なります。導入を検討する際は、業者と相談しながら、必要な設備を選ぶことが重要です。
ご紹介した相場は全て定価であるため、実際は20〜30%程度値引きされるケースが一般的です。
水道工事


飲食店の厨房における水道工事とは、水道管や厨房設備のシンクなどを配管でつなぐ工事を指します。適切な排水設備を設置することで、厨房の衛生環境を維持し、トラブルを未然に防ぐことができます。
水道工事の費用相場
水道工事の費用相場は、20〜30坪の規模で100万〜200万円程度が目安です。
- 水道工事に含まれる工事内容は、以下の通りです。
-
- 給排水引き込み工事
- 給水・排水管の配管工事(厨房内)
- グリストラップ設置工事
- 給湯器設置(ガス or 電気)
- 厨房機器(シンク・食洗機・製氷機など)への接続工事
店舗の規模や配管の状況によって金額が大きく変動するため、事前に業者に相談しながら予算を立てることが重要です。
水道工事のポイント・注意点
飲食店における水道工事では、一般住宅の工事と異なり、排水処理が特に重要視されます。油や生ごみなどが直接下水に流れないようにするため、多くの自治体で「グリストラップ」の設置が義務付けられています。
グリストラップとは、厨房の排水から油分や固形物を分離し、下水に流れ込むのを防ぐ設備です。これにより、排水管の詰まりや環境汚染を防ぐ役割を果たします。
グリストラップには、主に以下の2種類があります。
| 床に埋め込むタイプ | 排水口と直接つなげるため、排水管工事が必要 |
|---|---|
| シンク下に置くタイプ | 床に埋め込むタイプに比べて工事費用は安価に抑えられるが、店舗の面積や油の使用量によっては設置できない場合がある |
グリストラップを設置しないと、排水管が詰まりやすくなるだけでなく、下水管の損傷による損害賠償のリスクも高まります。設置が義務付けられていない場合でも、トラブルを未然に防ぐために導入することをおすすめします。
電気工事


電気工事は、飲食店の安定した電力供給を確保し、火災や感電などのリスクを防ぐために欠かせない工事です。特に厨房では、大型の電化製品を使用するため、適切な電気設備を整えることが重要になります。
電気工事の費用相場
- 電気工事の費用相場は、分電盤の設置や配線工事を含めて90万〜180万円程度が目安です。
主な内訳は、以下の通りです。 -
- 動力電源(200V)引き込み工事
- 分電盤の設置・容量アップ
- 厨房機器(IH、冷蔵庫、食洗機等)用の配線・専用回路増設
- 照明工事(厨房・客席含む)
- コンセント・スイッチの設置
- 空調設備用電源工事(業務用エアコン対応)
店舗の規模や使用する電化製品の種類によって、必要な工事内容や費用は変動します。
電気工事のポイント・注意点
飲食店で使う電気は、厨房機器のIHコンロ、オーブン、フライヤー、冷蔵庫、冷凍庫、食洗器や給湯器などに加え、厨房の環境や客席の環境を快適に保つための空調など、必要な箇所がいくつもあります。そして業態がカフェやバーなのか、中華料理やラーメン屋なのかによっても、必要な電気容量が大きく異なります。
また、一般家庭での「オール電化」と同様、ガスを一切使わず、すべての調理機器を電気式でまかなう『電化厨房』を採用する場合、照明や冷蔵庫のための電力とは別に、膨大な「熱エネルギーとしての電力」が必要になり、電力容量は桁違いに大きくなります。
電化厨房とは?
ガスコンロやガスオーブンの代わりに、IHクッキングヒーターやスチームコンベクションオーブンなどを導入し、厨房内の熱源をすべて電気に集約したシステムのこと。燃焼排気が出ないため「涼しく清潔な厨房」を実現できる一方で、受変電設備(キュービクル)の増設や契約電力の大幅な変更が必要になるケースが大半。
必要な電力容量を確認する
飲食店では、提供する料理の種類や店舗の規模、設置する電化製品の数によって必要な電力容量が異なります。電力容量が不足すると、ブレーカーが頻繁に落ちるなどのトラブルにつながるため、事前に契約する電力会社と相談し、適切な容量を確認してください。
さらに、導入する調理機によって、100V・200Vといった電圧や必要なワット数に加え、単相・三相の違い、コンセント形状(3芯・4芯)などが異なります。これらの条件によって準備すべき配線や設備が変わるため、事前にしっかり確認しておきましょう。
幹線引き込み工事が必要となるケース
電力容量が不足している場合、幹線引き込み工事が必要になることがあります。
幹線引き込み工事とは、既存の電力供給ラインでは容量が足りない場合に、より太い幹線を引き込み、使用可能な電力を増やす工事です。
特に、以下のような設備を導入する場合は、幹線引き込み工事が必要になる可能性があります。
-
- 大型冷蔵庫や業務用冷凍庫
- 大型レンジやオーブン
- 高出力の調理機器
電気容量が不足すると、設備が正常に稼働しないリスクがあるため、内装業者や電力会社と相談しながら適切な電気工事を進めることが大切です。
ガス工事


厨房におけるガス工事は、調理機器を安定して稼働させるため、また火災やガス漏れのリスクを防ぐために重要な工事の一つです。
ガス工事の費用相場
ガス工事の費用相場は、配管工事費用を含めてガス機器を1~2台使用の厨房の場合で、40~90万円。 複数台のガス機器を使用する中規模の厨房で70~90万円が一般的です。
主な内訳は、以下の通りです。
-
- ガス引き込み工事(新規設置の場合)
- ガスメーター設置工事
- 厨房内配管工事(ガス機器に接続する場合)
- ガス機器用配管工事(コンロ、フライヤー、グリドルなど)
- ガス漏れ検査や試運転にかかる費用
厨房機器の種類や店舗の規模によっては、追加の配管工事が必要になる場合もあるため、事前に業者と相談しながら予算を立てることが大切です。
ガス工事のポイント・注意点
厨房におけるガス工事で注意すべきポイントを詳しく解説します。
ガス容量を事前に確認する
飲食店を新たに開業する場合やビルのテナントとして入居する場合、事前にガスの容量を確認しておくことが重要です。
ガス容量が不足していると、追加工事が必要になることがあります。さらに、立地によってはガス工事ができないケースもあるため、居抜き物件だけでなく、テナントとして入居する場合も、内装業者と相談しながら適切なガス設備を計画しましょう。
業種によってガスの号数が異なる
飲食店の業態によって必要なガスの号数が異なります。調理の規模や使用する火力の強さによって、適切なガス容量を確保する必要があります。
| ガスの号数 | 適正業態 |
|---|---|
| 4〜6号 | 小料理、寿司、バー、カフェなど |
| 6〜10号 | 居酒屋、和食、洋食など |
| 10〜16号 | イタリアン、フレンチ、ラーメンなど |
| 16号以上 | 中華料理 |
開業予定の業種とガス容量が合わない場合は、ガス管の引き直し工事が必要になるため、事前に確認しておくことが重要です。
ガス設備の設置は、厨房の安全性や調理の効率にも影響を与えるため、信頼できる業者と相談しながら慎重に進めましょう。
厨房内装工事
内装と聞くと客席の壁紙やテーブルセットなどの什器といったインテリアを思い浮かべがちかもしれません。
ですが、厨房にも仕上げるべき内装があり、それは壁・床・天井の3点です。これらは見た目だけではなく、防火・防水、耐久性など実用面でも重要な部分であり、費用がかかります。
もし客席から見えるオープンキッチンを採用するのであれば、防火・防水などの実用的な側面に加えてデザインも考慮し、実用性と意匠性、その両面を考慮した内装選びが必要になります。
厨房内装工事のポイント・注意点
飲食店には消防法や建築基準法に基づく内装制限があり、火災による延焼リスクを避けるために基準を満たした内装であることが重要です。
壁や床、天井には燃焼しにくく有害な煙やガスを発生させない「不燃材料」「準不燃材料」「難燃材料」を使用し、火災時の被害の拡大を防ぐ義務があります。これらは建物の構造や階数、床面積によって安全基準は異なり、違反すると罰則が科せられる可能性があります。
火災時に被害を拡大させないためにも建築基準法や消防法について自分自身が把握した上で、プロの業者に相談しながら内装を決められると良いでしょう。
他にも、保健所が管轄する食品衛生法による内装の衛生基準も同時に適用されるため、清掃しやすく害虫が発生しにくい素材かどうか等も考慮すると安心です。
厨房に適した壁材と天井
厨房の壁は火災対策として耐火性、衛生面から耐水性のある素材を選ぶ必要があります。
化粧ケイカル板やステンレス材は防火性・耐火性に優れていますが、他にも防火認定を受けたビニールクロスなどがあり、デザインを重視する場合でも性能と見た目を両立できます。
さらに、天井を高く見せる効果があることからリノベーションで人気のスケルトン仕様ですが、実は注意点があります。スケルトン仕様では梁や配管、ダクト上にホコリが積もりやすくなり、風や空調で落ちたホコリが料理に混入するリスクがあり、保健所に認められないことが多いためです。
クモの巣や、虫の侵入が増えるリスクも発生します。
他にもスケルトン仕様では外気の影響を受けやすく温度・湿度管理が難しいために電気代が増える点に注意が必要です。取り入れる際はよく確認し、法令や衛生面を十分考慮して選定しましょう。
厨房に適した床材
飲食店の厨房は、食材や水、油などで汚れやすいため、適切な床材を選ぶことが重要です。従業員が安全に作業できる環境を整え、衛生的な状態を維持するためにも、床材選びにはこだわりましょう。
- 厨房の床材を選ぶ際にチェックすべきポイントは、以下の3つです。
-
- 耐久性が高く、長期間使用できるか
- 防水性があり、水や油による劣化を防げるか
- 清掃がしやすく、衛生管理を維持できるか
これらの条件を満たす床材として、以下の種類がよく使用されています。
| 床材 | キッチン | 特徴 |
|---|---|---|
| クリンカータイル(磁気質タイル) | ウェット | ・せっ器質のタイルで硬く、水を吸いにくい ・丈夫で耐久性が高い ・滑りにくく、転倒リスクを軽減できる ・施工費用が高め |
| コンクリート | ウェット | ・セメント製の床材でコストを抑えられる ・ひび割れしやすく、クラックが発生しやすい |
| 長尺タイル(塩ビタイル) | ドライ | ・ポリ塩化ビニール素材で耐久性・耐水性に優れている ・クッション性があり、作業時の負担を軽減 ・防水性を維持するために定期的なメンテナンスが必要 |
厨房の床は、「ウェットキッチン」と「ドライキッチン」によって適した床材が異なります。
-
- ウェットキッチン:水を撒きながら清掃する厨房(例:飲食店の調理場)
- ドライキッチン:常に床が乾いている厨房(例:ベーカリーやカフェの調理スペース)
厨房や調理場では、保健所の営業許可を得るためにも、耐水性の高いクリンカータイルやコンクリートの床材が推奨されます。店舗の業態や厨房の環境に合わせて、最適な床材を選びましょう。
厨房設備設置工事
飲食店を開業する際、最もコストがかかるのが厨房設備です。厨房設備費は、飲食店全体の内装工事費用の約4割を占めるとも言われています。
【全体】厨房設備別の費用相場
導入する設備の種類や工事の規模によって、費用は大きく変動します。厨房設備を揃える方法別の費用相場は、以下のとおりです。
| 費用相場 | |
|---|---|
| 新品で厨房設備を揃える場合 | おおよそ500万円以上 |
| 中古・居抜き物件を活用する場合 | 約100万~300万円 |
| リースを組み合わせて揃える場合 | 100万円前後 |
中古の厨房設備を購入したり、居抜き物件を活用したりする場合は、新品の厨房設備を揃えた場合の半額程度の費用に抑えられるのが一般的です。
【設備別】厨房設備別の費用相場
厨房設備を新品で購入する場合の費用相場を紹介します。新品でもメーカーやスペックによって価格が大きく異なります。また、業者に設置を依頼する場合は、別途設置費用がかかる点にも注意が必要です。
飲食店の厨房設備に必要な種類と、それぞれの費用相場は以下のとおりです。
必要な厨房設備の種類と費用相場
| 主な厨房設備 | 費用相場 | 飲食店営業許可基準・選ぶ基準 |
|---|---|---|
| シンク1層 (45cm幅) | 3〜8万円 | 保健所の営業許可を満たす基準は2槽以上 |
| シンク2層 | 10〜15万円 | 保健所の営業許可を満たす基準は2槽以上 |
| 手洗い器 | 20〜30万円 | 従業員用・お客様用の最低2箇所に設置する必要がある |
| 冷凍庫・冷蔵庫 | 120〜150万 (幅62.5cm) 160〜200万円 (幅120cm) | 店舗で使用する材料のストックに適した容量か、設置スペースに収まるかを確認する |
| 製氷機 | 50〜170万円 | 必要な量の氷を作れる製氷能力があるか |
| コールドテーブル | 20〜50万円 | 冷凍冷蔵庫と作業台が一体化しており、食材を取り出してすぐに調理できる |
| ガステーブル | 10〜30万円 | コンロが2口以上ある据え置きタイプのガステーブル |
| フライヤー | 20〜100万円 | ガスタイプと電気タイプがあり、業態・規模に合わせて選ぶ |
| オーブン | 20〜80万円 (ガス式の標準タイプ) | 提供するメニューに応じた専用オーブンを準備する必要がある |
| 給湯器 | 20〜30万円 | 食器洗浄、シンク、手洗い場には温水が必要。ガス給湯器と電気給湯器の選択が可能 |
| 食器洗浄機 | 120〜200万円 | 業務負担の軽減や水道代・ガス代の削減につながる。シンクは2つ以上必要だが、食洗機があれば1つでも認められる場合がある |
飲食店の厨房設備を揃える方法


飲食店の厨房設備を入手する際は、主に次の4つの方法があります。
-
- 新品の厨房設備
- 中古の厨房設備
- リースの厨房設備
- 居抜き物件の厨房設備
それぞれの入手方法のメリットやデメリットを詳しくみていきましょう。
新品の厨房設備
新品の厨房設備を導入するメリットとデメリットは、次のとおりです。
| メリット | ・多様なメーカーの製品から最適なものを選べる ・メーカー保証やアフターフォローを受けられる |
|---|---|
| デメリット | ・中古品に比べて初期費用が高額 |
新品の厨房設備を導入すれば、豊富な選択肢の中から最適なアイテムを選べます。また、メーカー保証が付いているケースが多く、万が一トラブルが発生した場合でもアフターフォローを受けられる点も大きなメリットです。
ただし、中古品と比較すると初期費用が高くなるため、予算に余裕がある場合や長期間の使用を前提とする場合に適しています。
中古の厨房設備
中古品を活用することで、コストを抑えながら厨房設備を揃えることができます。
| メリット | ・新品に比べて低コストで導入できる |
|---|---|
| デメリット | ・故障リスクが高く、修理費が発生する可能性がある |
中古品は、新品よりも安価で購入できるため、開業資金を抑えたい場合に適しています。ただし、経年劣化による故障リスクが高く、修繕費や修理費がかえって高額になることもあります。
購入の際は、動作確認や傷・汚れの状態をしっかりチェックし、保証やアフターサービスが付いているかも確認しましょう。
リースの厨房設備
リースとは、月々一定の料金を支払うことで厨房設備を使用できる契約です。
| メリット | ・初期費用を抑えられる ・メンテナンスが不要 ・最新設備を導入できる |
|---|---|
| デメリット | ・長期間使用すると購入より割高になる可能性がある ・契約中の途中解約が難しい |
リースを利用すれば、初期投資を抑えつつ、最新設備を導入することが可能です。また、リース契約にはメンテナンスが含まれているケースが多いため、故障時の修理費用を気にする必要がありません。
一方で、長期間利用する場合は、購入するよりも総額が高くなる可能性があります。また、リース期間中に廃業や移転などで設備が不要になっても、残額を支払う必要があるため、契約条件を事前に確認することが重要です。
居抜き物件の厨房設備
居抜き物件を活用すると、前の飲食店で使用されていた厨房設備をそのまま利用できます。
| メリット | ・初期費用を抑えられる ・すぐに営業を開始できる |
|---|---|
| デメリット | ・設備が故障した場合、借主が修理費を負担しなければならない |
居抜き物件を活用することで、開業資金を大幅に削減できます。また、設備がすでに揃っているため、内装工事にかかる費用面の負担を減らしつつ、工期も短縮できます。短期間での開業を希望している方におすすめです。
ただし、設備の老朽化や故障リスクもあるため、契約前に設備の状態をしっかり確認し、前オーナーに故障履歴や使用上の注意点を聞いておくと安心です。
飲食店の厨房設備を選ぶポイント


飲食店の厨房設備を選ぶ際には、店舗の運営効率や快適な空間づくりを考慮することが重要です。ここでは、設備選びの際に押さえておきたいポイントを詳しく解説します。
店舗のサイズに合った設備を導入する
厨房設備は、店舗の面積やレイアウトに適したものを選びましょう。また、必要な設備からレイアウトを設計することも合わせて検討していきましょう。
厨房のサイズに合わない設備を導入すると、以下のような問題が発生する可能性があります。
- 動線が制限される
-
作業スペースが狭くなり、従業員の移動がスムーズにできなくなる
- 作業効率の低下
-
調理や配膳の流れが悪くなり、オペレーションに影響を与える
- 提供メニューの制限
-
設備の制約により、予定していたメニューが提供できなくなる
厨房の広さや客席数を踏まえて、最適な設備を選ぶことが大切です。
提供するメニューとの整合性を考慮する
店舗で提供するメニューに応じた厨房設備を選びましょう。
例えば、以下のような点を考慮することで、より効率的な厨房環境を整えることができます。
- ドリンクメニューが豊富な場合
-
製氷能力の高い製氷機を導入する
- オーブン調理が中心の業態
-
業務用オーブンの種類や容量を検討する
- 冷蔵・冷凍が必要な食材を多く扱う場合
-
十分な収納スペースのある冷蔵庫・冷凍庫を選ぶ
想定される調理内容によって、必要な設備の種類やスペックを慎重に検討しましょう。
排煙や換気設備で快適な空間をつくる
上述の通り、飲食店の厨房では排煙や換気設備も重要な要素です。
適切な排煙・換気設備を設置しないと、以下のような問題が発生する可能性があります。
- 煙や臭いが客席に流れる
-
お客様に不快感を与え、店内の雰囲気が悪くなる
- 油汚れが厨房内に蓄積する
-
衛生管理が難しくなり、清掃の手間が増える
- 従業員の作業環境が悪化する
-
厨房内の温度上昇や空気のこもりが原因で、スタッフの負担が増す
特に、焼き物や揚げ物を多く提供する店舗では、強力な換気システムを導入することが重要です。客席エリアの快適性も考慮しながら、適切な排煙・換気設備を整えましょう。
飲食店の厨房工事で押さえておくべき注意点
飲食店の厨房工事で押さえるべきポイントを詳しく解説します。
全体のスケジュールを把握する
飲食店を開業する際は、開業希望日やオープン予定日が決まっているケースがほとんどです。そのため、工事のスケジュール管理が非常に重要になります。
一般的に、厨房工事を含む内装工事は約2ヶ月程度かかるため、開業日から逆算して計画を立てましょう。工事が計画通りに進んでいるかを確認するために、定期的に現場へ足を運ぶことも大切です。もし工事中に問題が発生した場合でも、早めに対応すれば、開業スケジュールに大きな影響を与えずに済むでしょう。
引き渡し時に設備のチェックを怠らない
厨房工事が完了したら、設置された設備が正常に機能するかを細かくチェックしましょう。
- 特に、以下のような安全面に関わる設備は、入念に確認する必要があります。
-
- ガス設備:火のつき方やガス漏れの有無をチェック
- 排水設備:詰まりや漏れがないか確認
- 換気設備:排気が適切に機能しているか検証
- 電気設備:コンセントや照明が問題なく動作するか確認
万が一、施工ミスが見つかった場合、引き渡し後では修正に時間がかかることもあります。工事業者とともに、事前に設備の動作確認を行い、問題がないことを確認したうえで引き渡しを受けるようにしましょう。
複数の業者に見積もりを依頼する
厨房工事の費用は、業者によって大きく異なるため、複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
- 見積もりを依頼する際は、次のポイントをチェックしましょう。
-
- 工事費用の内訳が明確か:どの項目にどれだけの費用がかかるのか
- 追加費用の可能性:見積もりに含まれていない費用が後から発生しないか
- 過去の実績:飲食店の厨房工事の経験が豊富な業者か
- 担当者の対応力:質問や要望に対して丁寧に対応してくれるか
価格だけでなく、業者の実績や対応の良さも比較しながら、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
厨房工事に関するよくあるQ&A
厨房設備は従業員の快適さだけでなく安全性にも直結します。工事計画を立てる上で浮かぶ疑問は多くありますが、事前に知識を得ることで予算オーバーや工期の遅延といったトラブルを防ぎ、より良い設備を整えましょう。
ダクトの役割
ダクト工事って本当に必要?
厨房での調理では油煙や熱、蒸気、においが発生します。
ダクト工事による排気設備の完備により、適切な換気を行わなければ、壁や天井の汚れやカビ、火災リスク、さらに熱やにおいによる店内環境の悪化が問題になります。
近年は飲食店の臭気による近隣からの苦情も増えており、その原因の多くは調理臭です。トラブル防止のためにも、店舗の規模に適切な設備を事前に整えることが重要です。
居抜き物件の設備
居抜き物件の場合、厨房はそのまま再利用できる?
居抜き物件の既設のダクトや排気設備をそのまま再利用できれば、工事不要でコスト削減が可能です。
しかし、設備があるだけでは安心できません。設備が最新の法令にも適合しているのかどうか確認する必要があります。
最新の法令に適合しているか、故障や油の蓄積がないかを必ず確認しましょう。修理や交換が必要な場合、そのまま再利用は難しくなります。
また、排気設備の送風機は機種により排気量が異なります。使用する加熱調理器や業態に応じた必要換気量を把握し、物件見学時に確認することが重要です。排気量や性能に不足がある場合は、送風機の交換工事が発生する可能性があることもあらかじめ理解しておきましょう。
厨房工事の追加費用
厨房工事で追加費用が出やすいポイントは?
居抜き物件での出店では老朽化した給排水の配管やダクトの補修が必要なケースや、契約時には気付かなかった不具合や電源容量不足が判明することがあります。
さらに、保健所の指摘で手洗い場の追加や、耐水性不足による壁・床素材の貼り替えなどが発生すれば、追加の工事のためにオープン日の延期や臨時休業のリスクも伴います。信頼できる施工会社への依頼、事前確認を徹底、設計段階から早めに保健所へ相談することで、スムーズな開業を目指しましょう。
まとめ


飲食店の厨房工事にかかる費用や注意点について詳しく解説しました。厨房工事は飲食店の運営に直結する重要な要素であり、適切な設備を整えることでスムーズな業務運営が可能になります。
厨房工事をスムーズに進めるためには、綿密なスケジュール管理と信頼できる業者選びが欠かせません。また、設備導入にかかる費用や工事内容を事前に把握し、予算を考慮しながら計画的に進めることが大切です。
本記事で紹介した設備工事費用の目安や注意点を参考にしながら、開業準備を円滑に進めましょう。


FUJIOH 業務用事業ソリューション推進担当 藤野 修一
飲食店・宿泊施設・食品小売など、業務厨房に関する課題解決に従事。排気・給気の設計から、循環タイプ機器の導入提案、さらに省エネや作業効率向上を目的としたレイアウト改善まで、現場に即したソリューションを提供してきた実績を持つ。メーカーや設計事務所、施工会社との協業を通じ、店舗の新規立ち上げから改修までを幅広くサポート。現在は、業務用厨房における「新しい厨房のカタチ」をテーマに、課題解決型の提案活動に取り組んでいる。






