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飲食店の厨房では、調理機器から熱や湿気、油煙、においが発生します。そのため、排気で汚れた空気を外へ出し、給気で必要な空気を取り入れることが欠かせません。
一方で、給気と排気のバランスが崩れると、思わぬトラブルの原因になるため注意が必要です。この記事では、厨房の給気・排気の適正バランスやトラブル事例、換気システムを設置する際のポイントを解説します。
厨房の換気システムとは

厨房の換気システムは、調理時に発生する熱や湿気、油煙、においなどを排気し、厨房内の環境を改善するために必要不可欠です。排気フードなどを適切に設置することで、厨房内に汚れた空気が広がるのを防ぎ、作業しやすい環境を確保できます。

換気システムは従業員の健康維持にもかかわるほか、空調負荷を抑えられれば省エネや省コストにもつながります。つまり、厨房の換気システムは単なる排気設備ではなく、店舗の安全性や快適性、運営効率を支える要といえるでしょう。
厨房の給気と排気の適正バランス
厨房の給気は、屋外から空気を取り入れ、厨房内の空気を入れ替える役割があります。一方、排気は調理機器から発生する油煙、におい、油脂を含んだ水蒸気などをフードで捕集し、ダクトを通して排出するものです。
給気と排気のバランスが崩れると、厨房内の負圧により扉の開閉不良や隙間風といった、客席への影響が起こりやすくなります。理想のバランスは、給気量÷排気量=約85%です。厨房内の負圧を適切に保てば、においの流出を抑えつつ、換気設備や空調への負荷も軽減しやすくなるでしょう。
厨房の排気・給気バランスが原因で起こるよくあるトラブル
厨房の排気・給気バランスが崩れると、さまざまなトラブルが生じます。ここからは、よくあるトラブル事例とその原因について見ていきましょう。
結露が発生する
給気口から湿った外気が直接取り込まれると、厨房内で結露が発生しやすくなります。特に梅雨時期や夏場は、外気に多くの水分が含まれているため、冷えた天井や壁、ダクト、空調機器の表面に触れることで水滴になりやすい状態です。
厨房では調理機器からも水蒸気が発生するため、排気が不十分な場合は湿気が室内に残り、結露のリスクがさらに高まります。給気と排気のバランスを整え、湿気をためない空気の流れを設計することが、厨房の衛生環境と作業環境を保つポイントです。
隙間風が入って客席が寒くなる
焼鳥店や焼肉店など、煙や油煙が多く発生する業態では、排気量を確保するために大きな排気ファンを設置するケースがあります。排気能力を高めること自体は、厨房の空気環境を保つうえで必要です。しかし、排気量に見合う給気量が確保されていないと、厨房や店舗内が負圧になり、ドアや窓の隙間から外気を強く引き込む原因になります。
特に冬場は冷たい空気が客席に流れ込み、足元が寒い、席によっては居心地が悪いといった不満につながるでしょう。隙間風を防ぐには、排気ファンの能力だけでなく、給気量や給気口の位置、空気の流れを確認することが大切です。
負圧で扉が重くなる
店舗の入口や厨房の扉が「引っ張られるように重い」と感じる場合は、扉そのものではなく、給排気のバランスに原因があるかもしれません。排気に対して給気が大きく不足した負圧の状態になると、厨房内は空気を外部から引き込もうとします。その結果、外側から引いて開けるタイプの扉は常に厨房側から引っ張られている格好となり、重くなります。
対策としては、排気量に対して必要な給気量を確保することが有効です。厨房室は、弱めの負圧となる程度に設計するとよいでしょう。
臭気が滞留して客席側に拡散する
給気が不足すると、厨房内ににおいが滞留するばかりか、排気の流れが乱れて店舗内に臭気が広がる場合があります。客席に調理臭や油煙臭が流れれば、来店客の不快感につながり、クレームの原因にもなるでしょう。
給気と排気のバランスを保つには、外気を導入するための給気口や給気ファンを設けるのも一つの手段です。給気、排気を一体で考えることで、臭気の滞留や客席への拡散を抑えやすくなります。
厨房環境の悪化
排気が不足すると、厨房内の湿気や熱気が外へ抜けにくくなります。ガス機器を使用する厨房では、給気と排気が十分に行われないと酸素濃度が低下し、不完全燃焼によって一酸化炭素が発生するリスクもあるため注意が必要です。



また、作業環境が28度を超える場合は、従業員の体調不良や作業効率の低下につながるおそれもあります。厨房内は、湿気やにおい、熱気が滞留しない空気の流れを設計することが大切です。
厨房に換気システムを設置する際のポイント


厨房に換気システムを設置する際は、排気量や給気量だけでなく、空気の流れ方まで考える必要があります。ここでは、換気システムの設計・設置時に確認したいポイントを押さえておきましょう。
厨房機器に当たらないようにする
給気の吹き出し口は、加熱調理機に直接風が当たらない位置に設置することがポイントです。調理中に発生する油煙や熱気は、条件がそろえば上昇気流に乗ってフード内へ吸い込まれます。しかし、給気の風が加熱調理機に直接当たると流れが乱れ、フードで捕集するはずの調理排気が押し流されてしまいます。
結果として、油煙やにおい、熱気が調理場全体に拡散し、換気効率の低下や厨房環境の悪化につながるでしょう。給気口を設計する際は、加熱調理機の位置やフードとの距離、作業者の立ち位置も含めて確認しましょう。
吹き出し方向や風速を考慮する
給気の吹き出しが強すぎたり、設置する向きが適切でなかったりすると、排気されるはずの油煙やにおいなどが厨房室内や客席に漏れてしまうケースも多くあります。給気は置換換気の考え方を応用し、床付近の高さからできるだけゆっくり吹き出すように設計しましょう。
また、開口部から入る気流の向きにも注意が必要です。厨房・客席全体でよどみのない換気流路を確保し、排気を妨げない空気の流れをつくることが大切です。
適切なオーバーハングをとる
オーバーハングとは、フードが調理機器より外側へ張り出している部分を指します。排気フードを設置する際は、厨房機器に対して適切なオーバーハングを確保することが重要です。
一般的には、調理機器から150mm以上の被りを取ります。ただし、油煙や熱気を含む排気が広がりやすい場合は、200~300mm程度まで広げる設計が有効です。加熱調理機のタイプや発熱量、配置、作業動線を踏まえ、フードで排気を確実に捕集できるよう計画しましょう。
排気・給気のバランス問題を解決する方法
排気設備の風量不足や近隣への臭気問題など、排気・給気の調整に困る飲食店も少なくありません。排気ダクトの工事が構造上難しい場合や、立地的に外への排気が難しいといったケースを根本から解決するなら、排気ダクトを使わないFUJIOHの「循環タイプ」がおすすめです。
循環タイプは、油やにおいをフィルタリングでろ過し、きれいな空気を厨房内に戻す設置型の製品です。一酸化炭素が発生するため排気が必要なガス式には対応していませんが、電気式の加熱調理器に使用することができます。
循環タイプのメリット
- 排気ダクトがいらず、設置が簡単
- 工期や工事コストを削減
- 既存厨房への追加導入も可能
- レイアウトの自由度が向上



排気・給気のバランスにお悩みの方は、選択肢の一つとして押さえておきましょう。
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まとめ
厨房の給気・排気バランスは、作業環境や衛生環境、客席の快適性に大きくかかわります。換気システムを設計する際は、給気の位置や風速、外気処理まで含めて検討しましょう。
排気・給気の調整が難しい場合は、排気ダクトを使わないFUJIOHの「循環タイプ」も有効です。製品の詳細については、以下をご確認のうえ、ご検討ください。


FUJIOH 業務用事業ソリューション推進担当 藤野 修一
飲食店・宿泊施設・食品小売など、業務厨房に関する課題解決に従事。排気・給気の設計から、循環タイプ機器の導入提案、さらに省エネや作業効率向上を目的としたレイアウト改善まで、現場に即したソリューションを提供してきた実績を持つ。メーカーや設計事務所、施工会社との協業を通じ、店舗の新規立ち上げから改修までを幅広くサポート。現在は、業務用厨房における「新しい厨房のカタチ」をテーマに、課題解決型の提案活動に取り組んでいる。







