厨房用排気フード(天蓋フード)の種類を解説|形状別の特徴や選び方

業務用厨房の排気フードには複数の種類があり、形状によって初期費用や、捕集できる油煙・蒸気の量が変わります。店舗の新規設計や改修にあたっては、業態や調理機器、設置スペースに応じて適切な形状を選ぶ必要がありますが、種類ごとの違いや使い分けの基準がわかりにくい場合も少なくありません。

本記事では、排気フードの代表的な形状である箱型と山型の特徴選び方の手順、排気フードに代わる室内循環型ユニットについて解説します。

目次

排気フード(天蓋フード)の役割

排気フードとは、加熱調理にともなって立ち上る油を含んだ煙や蒸気、そして熱を捕らえ、換気扇や排気ファン、ダクトを通じて屋外へ送り出すための天蓋型の装置です。熱源となる機器の上部を、ステンレスなどの燃えにくい鋼板で覆う構造になっています。

排気フードの役割は、大きく3つに分けられます。

1つ目は、厨房内の温度と湿度が上がりすぎるのを防ぎ、従業員の健康と衛生的な作業環境を守ることです。高温多湿のまま放置すれば、熱中症の危険が高まるだけでなく、食品を扱う場としての衛生水準も保てません。

2つ目は、油分が室内に広がって留まるのを抑え、火災が起きる危険を下げることです。

3つ目は、煙や臭いを速やかに外へ逃がし、客席まで影響がおよばないようにすることです。調理場が客席から見えるつくりの店舗では、排気の良し悪しがそのまま来店客の印象を左右します。

排気フードの種類と特徴

業務用の排気フードには複数の形状がありますが、まず押さえておきたいのが箱型山型の2つです。
どちらを選ぶかによって初期費用や清掃のしやすさ、捕集できる煙や蒸気の量が変わります。

両者の違いを表にまとめました。

箱型フード山型フード
天板の形状平らな天板山なりに傾斜した天板
初期費用抑えやすい箱型よりやや高い
施工比較的容易ある程度のスペースが必要
結露水天板(天面)に溜まり調理面に落ちやすい端部へ流れ落ち調理面へ垂れにくい

箱型フード

箱型フードは、厨房機器の上部を平らな天板で覆う形状で、最も広く使われています。構造が単純な分、施工も進めやすく、初期費用を低く抑えられる点がメリットです。すでに設備が残っている居抜き物件を改修する場合や、工事期間を短くしたい案件で選ばれることが多くあります。現場での開口や吊り穴の施工が比較的容易で可変性も高いため、店舗ごとの作業環境に合わせやすいのも強みです。

一方、天板が平らなため調理中の蒸気が水滴となって天面に溜まり、調理エリアへ落ちる場合があることから、衛生面での配慮が求められます。加えて、四角い形状であることで角の部分に煙や油汚れが溜まりやすい点には注意が必要です。そのため、定期的な清掃が欠かせません。

山型フード

山型フードは発生した煙や熱気が排気口へ流れやすい形状になっており、気流の乱れが少なく、高い排気効率を得られるのが特徴です。中華料理店や、大型の茹で麺機を使用する店舗など、大量の油煙や蒸気が発生する環境に適しています。
また、整流板と組み合わせることで、吸込口が狭まり吸い込み気流の速度が上がるため、少ない排気風量でも効率良く煙や蒸気を捕集可能です。排気ファンやダクトの容量を抑えられ、省エネや騒音の低減にもつながります。

天板に傾斜をつけることで結露水を端へ流し落とす構造で、箱型フードで起こりやすい調理面への水滴の落下を防げるのもメリットです。
一方で、サイズが大きくなりやすいため、導入にあたっては十分な天井高と設置スペースを確保する必要があります。

排気フードの選び方

排気フードの選定でまず前提となるのが、法令への適合です。

消防法に基づく火災予防条例では、コンロなどの火源から、排気フード内部に取り付けるグリスフィルターまで原則100センチメートル以上の離隔距離を確保することが定められています。この制約があるため、天井が低い物件では十分なフードの高さが確保できず、手前側の高さを抑えた変形の箱型フードを特注するといった寸法の調整が必要です。

また、建築基準法および同施行令では、万が一の火災時に設備が燃えて延焼することを防ぐため、排気フードの材質に不燃材料を使用することが義務付けられています。排気フードの材質は法令の基準を満たしつつ、それぞれの特徴を踏まえて選びましょう。

ステンレス

耐食性や耐熱性に優れ、油汚れにも強いだけでなく手入れがしやすいため、長期間衛生的に使用できる

スチール

丈夫で安価だが、サビ止めの処理を行わないと油や湿気で腐食しやすい

物理的および法的な条件をクリアしたうえで、店舗の予算や調理スタイルに合わせて最適な形状を決定します。導入コストを重視する店舗では汎用的な箱型フード、大量の油煙や蒸気が出る店舗では山型フードを選ぶ、などです。

排気フードの法令上の分類(Ⅰ型・Ⅱ型)

排気フードの形状は、建築基準法施行令や関連告示で定められた構造の要件に基づいて、Ⅰ型Ⅱ型の2種類に分類されています。

Ⅰ型は、調理機器の幅と奥行きの寸法以上を覆う構造のフードを指します。これに対してⅡ型は、火源から水平方向に、火源からフードまでの高さの2分の1以上の距離を覆い、下部に5センチメートル以上の垂れ下がり部と、水平面に対して10度以上傾いた集気部を備えた構造です。

この分類によって、火を使用する厨房に義務付けられている必要換気量を計算する際の係数が変わります。換気量計算の一つに燃料消費量をもとに算出する方法がありますが、その際の係数はⅠ型が30、Ⅱ型が20という定めです。

Ⅱ型のほうが必要換気量は少なくなるため、選定する排気ファンやダクトの小型化につながります。一方でⅠ型のメリットは、調理機器の幅と奥行きの寸法以上を覆うだけで要件を満たせることです。Ⅱ型のように大きく張り出した設計にする必要がなく、フード自体のサイズを小さく収められます。

排気フードに代わる室内循環型ユニット

ここまで、一般的な排気フードの形状や材質、法令に基づく選び方について解説してきました。しかし物件に構造的な制約がある場合や、ダクトの配置に縛られない自由なレイアウトを目指す場合には、屋外へ煙を出す従来の排気フードに代わる選択肢もあります。

それがダクト設備を必要としない、室内循環型ユニットです。ここでは室内循環型ユニットについて、メリットや向いている厨房・店舗を交えて解説します。

室内循環型ユニットとは

加熱調理器のすぐそばに据え付け、調理中に発生する油煙や蒸気を本体内部のフィルターで直接捕らえて浄化し、きれいな空気を厨房内へ戻す仕組みの装置です。対象とする加熱調理器に合わせて油煙の回収と蒸気の回収の2タイプから使い分けます。

ただし、室内循環型ユニットを導入できるのは、電気式の加熱調理器に限られます。ガス機器は燃焼によって二酸化炭素や蒸気を発生させ、室内の酸素も消費するため、屋外への排気が欠かせません。室内循環型ユニットは、燃焼ガスを排気せずに空気を循環させるという性質上、電気調理器との組み合わせが前提となります

室内循環型ユニットのメリット

室内循環型ユニットが特に活きるのは、次のような場合です。

まずは稼働中の厨房でメニュー追加のために加熱調理器を増設したいものの、ダクトの増設が難しいケースです。

新たに追加する機器の真上に換気設備がない場合、従来であれば排気フードやファン、ダクトの大がかりな増設工事が必要でしたが、室内循環型ユニットなら機器の上部に設置するだけで対応できます。

もう一つが、地下にある店舗や商業施設内の区画など、屋外への排気経路を確保しにくい物件です。

屋外へ排気しない方式のため、こうした立地でも出店可能になります。

まとめ

業務用厨房の排気フードは、費用と施工性を重視するなら箱型、油煙や蒸気が多く衛生面や捕集効率を求めるなら山型と、コストや業態に応じて選び分けます。

選定にあたっては、まず消防法建築基準法に基づく離隔距離や材質の要件を満たすことが前提です。そのうえで、店舗の設置スペースや予算、調理スタイルに合わせて最適な形状を決定します。

また、ダクト配管を必要としない室内循環型ユニットは、電気調理器を使用する厨房や、建物の構造や契約条件の制限で排気経路の確保が難しい物件において、従来の排気フードに代わる選択肢です。

本記事で紹介した、屋外排気に頼らない室内循環型ユニットはFUJIOHで取りそろえています。お悩みに応じた資料のダウンロードや、厨房の環境改善に関するお問い合わせは、
業務用サイトで受け付けています。厨房設計の自由度を上げる手段として、ぜひご活用ください。

この記事の監修者プロフィール

FUJIOH 業務用事業ソリューション推進担当 藤野 修一
飲食店・宿泊施設・食品小売など、業務厨房に関する課題解決に従事。排気・給気の設計から、循環タイプ機器の導入提案、さらに省エネや作業効率向上を目的としたレイアウト改善まで、現場に即したソリューションを提供してきた実績を持つ。メーカーや設計事務所、施工会社との協業を通じ、店舗の新規立ち上げから改修までを幅広くサポート。現在は、業務用厨房における「新しい厨房のカタチ」をテーマに、課題解決型の提案活動に取り組んでいる。

飲食店開業の厨房環境は
我々「FUJIOH」にご相談を!

この記事もよく読まれています

目次