飲食店開業に必要な消防署への届け出とは?届出書の作成・提出方法まとめ

飲食店を開業する際には、内装工事や設備の準備だけでなく、消防署への各種届け出が必要です。しかし、「どの書類を提出すればいいのかわからない」「いつまでに手続きすべきか不安」と感じている方も多いのではないでしょうか。

消防関連の手続きは専門的な内容も多く、知識のない状態で進めると営業開始に支障が出る可能性もあります。スムーズに開業を進めるために、必要な消防署への届け出の種類や流れ、注意点を確認していきましょう。

目次

飲食店の開業時に「消防署への届け出」が必要な理由

飲食店は調理に火を扱い、不特定多数の人が出入りするため、消防法上の「防火対象物」に該当します。消防法とは火災を防ぎ、人の命や財産を守るための法律です。

飲食店で火災が発生すると大きな被害につながるため、消火器自動火災報知設備誘導灯などの設置と日常点検が求められます。

また、収容人員によっては防火管理者の選任も必要です。安全な環境を保つため、消防署に各種届け出を提出し、適切な消防管理を行ないましょう。

飲食店を開業する際に必須の消防署への届け出

飲食店を開業する際は、消防法に基づき、営業開始前に必ず提出しなければならない届け出があります。
ここでは、飲食店の開業時に必須となる2つの届け出について、それぞれの内容や提出のポイントを具体的に見ていきましょう。

防火対象物使用開始届出書

消防署が防火対策の状況を確認し、必要な指導を行なうための書類です。所轄の消防署から専用の様式書類を受け取り、必要事項を記載して提出します。記載方法については様式とともに記載例を受け取ることができます。また必要な添付書類についても様式を受け取る際に確認しておくと手間が省けます。

おもな記載事項は以下のとおりです。

  • 物件の概要
  • 事業所の概要
  • 工事種別
  • 使用開始日
  • 設計者、施工者
  • 添付書類(平面図、立面図、詳細図など)

特に添付書類は不動産会社、工事会社などから受け取る必要があります。また届け出は使用開始日の7日前までに行なう必要があるため、余裕を持って届け出られるように準備しましょう。

防火対象物工事等計画届出書

建物の新築や改修、内装工事などを行なう場合、「防火対象物工事等計画届出書」を提出する必要があります。工事が防災上適切に行なわれているかを、消防署が確認するための書類です。こちらも様式は所轄の消防署で入手できます。

おもな記載事項は以下のとおりです。

  • 物件の概要
  • 事務所の概要
  • 添付書類(物件の概要表、平面図、立面図、詳細図、室内仕上表、建具表など)

届け出は、工事開始の7日前までに行なう必要があるため、こちらも工事会社と連携を取りながら進めましょう。工事会社によっては会社側で提出を代行してくれる場合もあります。

条件に応じて消防署に提出が必要な届け出

店舗の規模や設備内容、収容人数などの条件に応じて、追加で提出が必要となる届け出は次のとおりです。

  • 火を使用する設備等の設置届出書
  • 防火・防災管理者選任(解任)届出書
  • 消防計画作成届出書・消防計画書

条件に該当しているにもかかわらず提出を怠ると、消防法違反となる可能性もあるため注意が必要です。ここでは、各種届け出の概要と記載事項を解説します。

火を使用する設備等の設置届出書

火を使う設備のうち指定された設備を使う場合、「火を使用する設備等の設置届出書」の提出が必要となります。具体的には、

  • 熱風炉
  • 出力120kW以上の厨房機器
  • 温風暖房機
  • 出力70kW以上の給湯湯沸設備
  • ボイラー

などです。設置する設備が届け出の対象かどうかは厨房設備会社などに確認すると良いでしょう。

防火・防災管理者選任(解任)届出書

建物全体の収容人数が30人以上の飲食店を開業する場合、「防火・防災管理者選任(解任)届出書」を提出する必要があります。30人以上という人数には従業員も含む点に注意が必要です。

防火管理者になるには、市区町村で行なわれる防火管理講習を受講する必要があります。講習は2日間行なわれます。講習日時は決められており事前の申し込みが必要なため、防火管理者の設置が必要な場合は早めに計画を立てておく必要があります。

防火・防災管理者選任(解任)届出書のおもな記載事項は以下のとおりです。

  • 防火対象物の概要
  • 防火管理者の概要
  • 添付書類(防火管理者の資格を証明する書類)

消防計画作成届出書・消防計画書

防火管理者同様、建物の収容人数が30人以上の飲食店を開業する場合、消防計画作成届出書を提出する必要があります。添付する消防計画書は決まった様式がありませんが、消防署に記載見本が用意されていることが多いので、それらを参考に作成します。

消防計画書のおもな記載事項は以下のとおりです。

  • 防火管理の目的
  • 計画の範囲
  • 管理権原者
  • 防火管理者
  • 自主検査の内容
  • 消防訓練の計画
  • 火災発生時の活動
  • 防火管理についての消防機関との連絡
  • 検査表
  • 防火管理業務の委託に関する情報 建物の状況(防火設備等)
  • 緊急連絡先

消防用設備等(工事整備対象設備等)着工届出書

消防用設備等(工事整備対象設備等)着工届出書は、自動火災報知設備やスプリンクラー設備などの消防用設備を新たに設置・改修する際に提出する書類です。消防法に基づき、工事を始める10日前までに管轄の消防署へ届け出る必要があります。

おもな記載内容は以下のとおりです。

  • 防火対象物の名称、所在地
  • 設置する消防用設備の種類
  • 工事の種別
  • 着工予定日や完成予定日

提出が遅れると工事が進められない場合もあるため、内装工事の計画段階から準備を進めておくことが大切です。

消防用設備等設置届出書

消防用設備等設置届出書は、消防法令上の設置義務がある消防用設備を設置した際に、消防署へ報告するための書類です。設置後4日以内が提出期限で、設備の改修でも届け出の提出が求められます。

おもな記載内容は以下のとおりです。

  • 防火対象物の名称や所在地
  • 設置した消防用設備の種類
  • 工事内容の詳細
  • 完成年月日や設置者の住所・氏名

提出後は、消防署による検査が行なわれるのが原則です。なお、提出期限や様式は地域によって異なることがあるため、事前に管轄の消防署へ確認しておきましょう。

消防署への届出書提出から営業開始までの流れ

消防署での手続きは、事前準備から提出、最終確認までの流れを正しく理解しておくとスムーズに営業開始できます。ここでは、届け出の提出から営業開始までの基本的な流れをステップごとに確認していきましょう。

必要書類の準備

消防署への届け出が必須の「防火対象物使用開始届出書」と「防火対象物工事等計画届出書」には、以下の添付書類が必要になるケースがあります。

  • 防火対象物概要表
  • 案内図
  • 平面図
  • 立面図
  • 断面図
  • 展開図
  • 仕上表および建具表
  • 消防用設備の設計図

書類は提出用だけでなく控えも作成しておきましょう。万が一の紛失や不備にも対応しやすくなり、安心して手続きを進められます。

管轄の消防署へ相談・各種届出書の提出

必要書類がそろったら、店舗を管轄する消防署へ事前相談を行ないます。建物に現在どのような消防用設備があるのかを確認したうえで、飲食店として営業する場合に追加で必要な設備や、設置基準を満たしているかを確認しましょう。

併せて、店舗の規模や収容人員などに応じて、防火管理者の選任義務があるかどうかの確認も必要です。事前相談後は、案内された内容をもとに必要な各種届出書を提出します。

図面や記載内容に不備があると再提出になることもあるため、提出前に内容を見直しておくと安心です。

消防署による現地調査・営業開始

各種届出書の提出後は、消防署による現地調査が行なわれます。消防職員が店舗を訪問し、消防用設備の適切な設置や避難経路が確保されているかなどがチェックされます。

消防法令上で問題がなければ検査完了となり、届出書の副本が返却されたら営業開始となる流れです。

ただし、調査で不備や改善点が指摘された場合は、後日改修が必要となります。指示にしたがって修正を行ない、再度確認検査を受けましょう。

飲食店開業で消防署に届け出を提出する際の注意点

飲食店の開業における消防署への届け出は、書類を提出すれば終わりではありません。設備の基準や手続きのルールを正しく理解したうえで進めることが重要です。

ここでは、スムーズに開業準備を進めるために押さえておきたいポイントと注意点を解説します。

消防用設備の設置基準を確認する

飲食店に設置する消防用設備は、消防法により設置基準が定められています。店舗の広さや階数、収容人数、火を使う設備の有無によって必要な設備は変わるため、物件ごとに確認しましょう。

  • 消火設備:消火器、スプリンクラー設備など
  • 警報設備:自動火災報知設備、漏電火災警報設備など
  • 避難設備:誘導灯、避難はしご、救助袋など

特に消火器は、2019年の消防法改正以降、原則としてすべての飲食店で設置が義務付けられています。物件選びや工事計画の段階で消防署に相談し、設置計画と点検体制まで含めて漏れのないよう準備しておくと安心です。

届け出を提出しないと消防法違反になる

必要な届け出を提出しないと消防法違反となり、行政指導や処分を受ける可能性があります。違反の対象は運営者だけでなく、所有者や管理者、占有者も含まれるため、オーナーも注意が必要です。

重大違反とみなされると、消防署のホームページに建物名や違反内容が公表されることがあり、店舗の信用低下や集客への悪影響につながるおそれもあります。安心して営業を続けるためにも、必要な届け出は必ず期限内に行ない、適切な管理体制を整えましょう。

消防署への届け出に関するよくある質問

飲食店の開業における消防署への届け出については、手続きの流れや対応方法に関して疑問を持つ方もいるでしょう。ここでは、届け出提出の際によくある質問を取り上げ、具体的な対応方法をわかりやすく解説します。

消防署から立入検査結果通知書が届いたらどうする?

消防立入検査結果通知書とは、消防署の検査で設備などに不備が見つかった際に、改善を求める書類です。飲食店は営業開始後も、数年に1回ほど消防署の立ち入り検査が実施されます。

検査の結果、消防法に反している点が見つかった場合、期限内に改善計画書の提出が必要です。計画書に沿って設備の是正や管理方法の見直しを進めれば、通常は問題ありません。

自己判断や放置をせず、必要に応じて消防設備業者へ相談し、指摘箇所を確実に改善しましょう。

居抜き物件の場合、前テナントの届け出を引き継げますか?

前のテナントが使っていた内装や設備をそのまま活用できる居抜き物件であっても、消防署への届け出までは引き継げません。

物件を使用する事業者やテナントの使用用途が変わった場合、新たに必要な届け出を行なうのが原則です。

居抜き物件で必要になるおもな届け出は、工事を行なう場合の「防火対象物工事等計画届出書」、使用開始時の「防火対象物使用開始届出書」、厨房などで火を使う場合の「火を使用する設備等の設置(変更)届出書」、条件により「防火・防災管理者選任(解任)届出書」が該当します。

物件の広さや収容人員、工事の有無によって必要書類は変わるため、できるだけ早い段階で管轄の消防署へ相談して確認するようにしましょう。

まとめ

飲食店を開業する際は、消防署への届け出が必要不可欠です。店舗は消防法上の防火対象物に該当するため、適切な消防用設備の設置や管理体制の整備が求められます。

必要な届け出の内容や提出時期を正しく理解し、余裕をもって対応することが大切です。安心して営業を続けるためにも、事前に消防署へ相談しながら計画的に準備を進めましょう。

この記事の監修者プロフィール

FUJIOH 業務用事業ソリューション推進担当 藤野 修一
飲食店・宿泊施設・食品小売など、業務厨房に関する課題解決に従事。排気・給気の設計から、循環タイプ機器の導入提案、さらに省エネや作業効率向上を目的としたレイアウト改善まで、現場に即したソリューションを提供してきた実績を持つ。メーカーや設計事務所、施工会社との協業を通じ、店舗の新規立ち上げから改修までを幅広くサポート。現在は、業務用厨房における「新しい厨房のカタチ」をテーマに、課題解決型の提案活動に取り組んでいる。

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