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厨房排気ダクトの設計は、飲食店の厨房環境や店舗運営の安定性に大きくかかわる重要な工程です。臭気クレームや排気不良を起こさないためにも、排気量やダクトの経路、圧力損失を考慮した設計が必要となります。
本記事では、厨房排気ダクトの設計基準や設計時の注意点、圧力損失計算の考え方をわかりやすく解説します。
飲食店の開業準備を進めている方や、厨房設備の設計・工事にかかわる方は、ぜひ参考にしてください。
厨房排気ダクトの設計基準
厨房排気ダクトは、厨房で発生する煙や熱、油を含んだ空気、臭気を屋外へ逃がすための設備です。飲食店の安全性や快適性を保つうえで重要ですが、自由に設置できるわけではありません。
排気ダクトの素材や位置などの設置基準は都道府県ごとに定められており、法令や各自治体の基準を確認したうえで設計が必要です。例えば東京都では、火災予防条例に基づき、以下のような基準が示されています。
- 清掃ができる構造であること
- ダクト内に特定不燃材料以外の電気配線や活性炭などを設けないこと
- 点検口を設置する場合、適切な位置に設けること
- 点検口を設置しない場合は、接続部をフランジ接続などで取り外せる構造にし、気密性を確保すること など
こうした基準を満たさないまま設計や工事を進めると、排気効率の低下だけでなく、火災時の延焼リスクにもつながります。厨房排気ダクトを設計する際は、店舗の業態や空調計画、設置場所に加え、地域ごとの基準や所轄消防署の確認まで含めて進めることが大切です。
厨房排気ダクトに関する法律
厨房排気ダクトを設計する際は、以下の法律に留意しましょう。
悪臭防止法
規制地域内にある工場や事業場から出る悪臭を規制し、周辺の生活環境を守るための法律です。規制基準は、敷地境界線や気体排出口などに対して定められており、排気の向きや高さ、脱臭対策を検討することが求められます。
消防法および各自治体の火災予防条例
消防法や各自治体の火災予防条例では、厨房火災を防ぐための対策を講じるよう義務付けられています。防火管理者を定める、器具の周囲は常に整理や清掃に努めるなど、飲食店の火災予防対策に関する情報を確認しておきましょう。
厨房排気ダクトの設計ポイント


厨房排気ダクトを設計する際は、厨房で発生する煙や熱、臭気を安定して排出できる仕組みを整えることが大切です。飲食店の業態や厨房の広さ、調理内容によって必要な排気量は変わるため、設計段階で条件を整理しておきましょう。
送風機の種類を考慮
送風機の種類は、おもに次の4種類です。
- 軸流式
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一般的なプロペラ換気扇に使われますが、静圧(ダクトやフィルターなどの抵抗を押し退けて空気を送り出す力)が低いため焼肉店や中華料理店などの重飲食店には不向きです。
- 遠心式
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ファンの軸に対して直角に空気を送る方式で、静圧が高いため、油煙や煙が多い厨房排気に適しています。シロッコファンやターボファンが代表的です。
- 斜流式
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軸に対して斜めに空気を送る仕組みで、比較的コンパクトかつ騒音を抑えやすい点が特徴です。長いダクト配管を通じた給排気の中間取付ダクトファンが代表例です。
- 横流式
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軸に対して横方向へ空気を送る方式で、おもに家庭用エアコンや店舗のエアカーテンなどに用いられます。
店舗の業態やダクトの長さ、圧力損失を踏まえて選定しましょう。
排出口の高さと向きの工夫
飲食店から出る調理中のにおいや油煙は、排出口の位置によっては近隣からクレームを受ける可能性があります。対策としては、以下が有効です。
- 屋上までダクトを引き上げて高い位置から排気する屋上排気工事
- 隣接するビルやマンションがない方向へ排気口を向ける など
店舗の階数や周辺環境によって適した方法は異なるため、設計段階で排気の流れを確認しましょう。


脱臭装置の種類を確認
においが減らない場合は、脱臭装置の設置も検討します。脱臭装置には、燃焼式や吸着式などさまざまな種類があり、においの発生源や現状から適切なものを選ぶことが大切です。
また、焼肉店や中華料理店など油煙を多く含む店舗の場合、油煙除去装置などの設置も必要となります。脱臭方法や燃料費などを考慮し、業態や調理内容に合わせた選定をしましょう。
厨房排気ダクトの圧力損失とは
圧力損失とは、ダクトの曲がり角や分岐・合流などによって、ダクト内の空気の流れが妨げられ、失われる圧力(エネルギー)のことです。例えば、ダクトが長かったり曲がり回数が多い場合は空気が通りにくくなり、排気性能が低下しやすくなります。
圧力損失を低く抑えることにより、必要な風量を効率良く確保しやすくなり、送風機への負荷が低減するため省エネにもつながります。厨房では煙や油煙、臭気を安定して排出する必要があるため、ダクトの長さや曲がりの数などを踏まえて、無理のない流れを設計しましょう。
圧力損失計算が必要な理由
厨房に必要な風量を確保するには、ダクト内で発生する空気抵抗を把握するための圧力損失計算が必要です。圧力損失が大きいまま送風機を選ぶと、想定した排気量に届かず、煙や臭気が厨房内に残るおそれがあります。
また、圧力損失がある場合に必要な風量を流すには、それを上回る機外静圧を持つ送風機が必要です。機外静圧とは、ダクト内で空気を押し出す力のことを指します。圧力損失を踏まえて送風機を選ぶことが、安定した換気・排気性能を維持するポイントです。
簡単に圧力損失を算出する方法
圧力損失を知るには、圧力損失曲線を使います。圧力損失曲線とは、縦軸に圧力損失(Pa)、横軸に風量(㎥/h)を用いたグラフです。グラフの活用により、必要な風量に対して、どれくらいの圧力損失が発生するかを読み取れます。
ただし、厨房排気ダクトは経路や部材が複雑になりやすく、手計算だけでは手間がかかるかもしれません。その際は、条件を入力して圧力損失を確認できる専用ソフトを使うと効率的です。
厨房排気ダクト設計における課題とは?


厨房排気ダクトの設計基準や圧力損失を踏まえて計画しても、現場条件によって課題が残る場合があります。ここでは、よくあるトラブル事例や対応策について見ていきましょう。
現場で発生しやすい排気トラブル
飲食店で多いのは、臭気クレームや排気不良などのトラブルです。飲食店のにおいは悪臭苦情につながりやすく、臭気対策はもちろん、定期的なにおいの発生状況の確認も必要です。
また、ダクトや排気口に油汚れがたまると、空気の流れが悪くなり、厨房内に煙や臭気がこもることがあります。給気が不足している場合にも給排気バランスが崩れ、ドアが開きにくい、客席へにおいが流れるといった問題につながるため注意が必要です。設計前には排気経路だけでなく、清掃やメンテナンスのしやすさまで確認しましょう。
従来の厨房排気ダクト設計だけでは解決できないケース
周囲に住宅やテナントが多く、屋外へ排気しにくい場合や、建物の構造上ダクトを屋上まで引き上げられない場合などは、厨房排気ダクトの設計だけでは解決が難しいケースもあります。
屋外排気やダクト工事が難しい場合は、従来の排気ダクト設計にこだわらず、循環タイプの活用がおすすめです。FUJIOHの「循環タイプ」は、排気ダクトを使わず、油煙やにおいをフィルターでろ過したり、蒸気を回収して高温水蒸気を取り除くことができます。屋外へ排気しないため、厨房全体の排気量を増やさず、給気不足の心配も抑えられるのがメリットです。ただし、電気式の加熱調理器専用のため、導入時は調理機器との適合を確認しましょう。
排気ダクトが不要なFUJIOHの「循環タイプ」はこちら


まとめ
厨房排気ダクトの設計では、法令や自治体ごとの設置基準を確認し、店舗の業態や厨房の広さ、調理内容に合わせた排気計画を立てましょう。一方で、臭気クレームや排気不良、ビルの制約など、従来のダクト設計だけでは対応しにくい課題があるのも現状です。
屋外排気が難しい場合は、FUJIOHの「循環タイプ」の活用も選択肢になります。
排気ダクトが不要で設置が簡単なうえ、工期・工事コストを抑えられるので、厨房排気や換気計画にお悩みの方におすすめです。
ぜひ、導入に向けた検討を進めてみてください。


FUJIOH 業務用事業ソリューション推進担当 藤野 修一
飲食店・宿泊施設・食品小売など、業務厨房に関する課題解決に従事。排気・給気の設計から、循環タイプ機器の導入提案、さらに省エネや作業効率向上を目的としたレイアウト改善まで、現場に即したソリューションを提供してきた実績を持つ。メーカーや設計事務所、施工会社との協業を通じ、店舗の新規立ち上げから改修までを幅広くサポート。現在は、業務用厨房における「新しい厨房のカタチ」をテーマに、課題解決型の提案活動に取り組んでいる。







